ババアとの出会い
↓登場人物↓
2017年4月某日、スラム街のような田舎を飛び出し、念願の都会へと引っ越してきた。
この時自分が「スラム街」から「超スラム街」へ引っ越していたとは思いもせず…
普通にワクワクしながら玄関のドアを開けると、1人のババアと遭遇した。
それは西側の隣の部屋に住んでいるババアで、かなり愛想が良いババア。
それはもうどこにでもいるババアで、THEババアって感じのババア。
あーババアだな〜
っていう感じのババアだった。
「あら〜最近引っ越してきたのね!親元離れて仕事するなんてまあ偉いのね〜!」
早速ババアキラーを発揮したオレは秒速で仲良くなった。
ババアにはなぜか昔から好かれる傾向にある。
幼少期はさながら、今なお見知らぬババアに声を掛けられたり話して盛り上がる事がよくある。少し前には化粧の濃いババアから求愛を受けたこともある。
いや全く何のメリットもないし頼むから若い女の子から好かれたい。
一方で明くる日、東側の隣の部屋に住んでるババアとも遭遇した。深めに帽子をかぶり、サングラスに黒尽くめの格好でどちらかというとマダムのような、婦人って感じのババア。
オレ「おはようございます!」
ババア「スンッ」
オレ(…聞こえてなかったかな?)
オレ「おはようございます!!」
ババア「スンッ」
オレ(ああ、だめだこいつ。ダメなやつだ。)
完全に完璧でパーフェクトな無視を食らった。
オレのババアキラーが打ち破れた瞬間である。
そしていわゆる「ロウガイ」である。
ロウガイを持つ高齢者に対峙すると、しばしば歯が立たない。
だが、隣人の挨拶を返す事なんてものは語る必要もないくらい最低の常識・マナーである。
それをしなかったということはもはや意識的に
返さなかったようにも思えてきた。
「挨拶を返す能力は持ち合わせているが、それを発動するに値しない人間だと思われたんじゃないか」
と考えると、もしかしたら騒音か何かで気づかないうちに迷惑をかけてしまっていて単に嫌われているだけの可能性もある。
そして嫌いな人間には挨拶も返さないタイプのババアなのかもしれない。
というテキトーな理屈も考えたりした。
非常に気分が悪いが、そして育ちも悪いが、一応隣人である以上は好印象を持たれるに越したことはないだろう。と育ちが悪いなりに思いその後も何度か遭遇するたびに挨拶はしたものの、全部「スンッ」とされるのでもうやめることにした。
こんなババアなんかに挨拶をする為に口を開き舌を動かし音を発するなんて時間もエネルギーも全て無駄だ。